最短撮影距離、被写界深度について説明してきましたが今回は[絞り]についてです。主に被写界深度をコントロールするための[絞り]の使い方を説明します。
マクロ撮影をするにあたって、最も重要と言ってもいいでしょう。絞りを変更したら、写真にどのような影響が出るのか検証していきましょう。
基礎知識
1.最短撮影距離
2.被写界深度
3.絞り
4.絞り羽について
5.撮影倍率
▼目次
絞りとは?
絞りというのは、レンズについている羽のようなものです。この羽が動いて光量を調整します。円形の光の通り道を開いたり閉じたりする遮蔽物ですね。
絞りはF2やF8など、Fと数字で表されます。これを絞り値、F値といいます。数字が大きくなるほど光の通り道は狭くなり、[絞る]と表現します。光の通り道を[しぼって]いるのですね。
手元のレンズにちょうどいいものがありましたので、各絞りの値で写真を撮ってみました。F値が小さいほど光の通り道が大きいので明るく、F値が大きいほど光の通り道が小さいので暗くなります。
開放絞りとは
開放絞りとは、レンズのもつ最小のF値です。レンズによってこの開放絞りは異なります。一般的にF値が3を切るレンズは明るいレンズと言われます。(値段も高くなる傾向があります…)
上の写真の解放絞りはF2.8ですね。
少々前置きが長くなってしまいましたね。それでは実際に検証してみましょう。
検証
前回に引き続き、車を使用します。7,8年前でしょうか?缶コーヒーの特典でミニカーがついてくるキャンペーンがあったときに手に入れました。
ニコンのカメラを使用してるので、黄色と黒のランボルギーニでいきましょう。…ほら、ロゴの色と同じでしょう。
使用するレンズはNikon 60mm micro f/2.8です。開放絞りはF2.8ですね。絞りの開放側と、絞った側で写真にどのような影響が出るのか試します。
まずはいつもの撮影風景です。30cmと40cmの位置にミニカーを置きます。
絞り値:f/3.2 黄色のフロント部分だけにピントが合っています。
60mm f/3.2 1/20s ISO100 (Nikon610 / AF-S Micro 60mm f2.8)
絞り値:f5.6 黄色のフロントからボンネット部分にピントが合っています。
60mm f/5.6 1/6s ISO100 (Nikon610 / AF-S Micro 60mm f2.8)
絞り値:f9 黄色のフロントから前輪までピントが合っています。
60mm f/9 1/3s ISO100 (Nikon610 / AF-S Micro 60mm f2.8)
絞り値:f11 黄色のフロントガラスまでピントが合っています。
60mm f/11 1/2s ISO100 (Nikon610 / AF-S Micro 60mm f2.8)
絞り値:f18 黄色のリヤタイヤの直前まであっています。(黒もだんだんボケが少なく)
60mm f/18 1.3s ISO100 (Nikon610 / AF-S Micro 60mm f2.8)
絞り値:f29 黄色は全体にピントが合うようになり、黒も鮮明になってきました。
60mm f/29 4s ISO100 (Nikon610 / AF-S Micro 60mm f2.8)
絞り値:f36 黄色は全体にピントが合うようになり、黒もフロントにピントが合いそうです
60mm f/36 6s ISO100 (Nikon610 / AF-S Micro 60mm f2.8)
…縦に並ぶとわかりづらいですね。ということでまとめました。
これだけでいいんじゃないかって?…大きい写真で見てほしかったからです。
まとめ
いかがでしょうか。絞っていくと、より広い範囲にピントが合っていく様子がわかったかと思います。前回は[被写体までの距離]でボケをコントロールし、今回は[絞り]によってボケをコントロールしていきました。
気づいた方もいるかと思いますが、F2.8のときはシャッタースピードが1/20秒に対して、F29のときは6秒になっています。絞ると光の量が減るのでシャッタースピードを長くとって光量のバランスを取らないといけないんですね。これについてはまたの機会に…。
今回覚えていただきたいのが、絞りによってボケ具合をかえられるということでした。