前回は最短撮影距離についてお話ししました。
マクロレンズは最短撮影距離が短いので、標準レンズ以上に被写体によることができるので強いボケ感を得ることができます。
今回は、マクロ撮影するうえで重要な知識である被写界深度についてお話します。
既に知っている方には申し訳ないですが、図も自作してみましたので是非見ていってください。
基礎知識
1.最短撮影距離
2.被写界深度
3.絞り
4.絞り羽について
5.撮影倍率
▼目次
被写界深度とは?
被写界深度というのは、ピントが合っているように見える範囲です。
ポイントは合っているように見えるというところですね。
そもそもピントというのは面で合うものです。点でとらえるのではありません。
厳密には下の図の青の面のみピントが合っている状態です。しかし、実際には赤面から黄色面の範囲でピントが合っているように見えます。
これを被写界深度と言います。
この被写界深度というのが、ボケをコントロールするために理解しなければならないものなのです。動物などの写真で、目や鼻だけにピントが合っている写真を見たことがあるのではないでしょうか。たとえば以下のようなものです。
鼻や目、注目してもらいたい部分以外をすべてぼかしてしまうという手法です。
これによって主題がはっきりします。[何が伝えたいのかわからない]といったような印象にはならなくなります。
被写界深度は[浅い]、[深い]という表現を使います。図の赤矢印が短いほど[浅い]状態、長いほど[深い]状態となります。猫の写真は[浅い]と言えますね。
被写界深度をコントロールする
そして、この被写界深度をコントロールするための手段が[被写体までの距離]と[絞り]です。
絞りについては次回説明しますので、今回は[被写体までの距離]です。
被写体までの距離が短いほど浅くなります。逆に距離が長いほど深くなります。
そうここでポイントになるのが、前回説明した最短撮影距離です。マクロレンズはかなり近くまで寄ることができるので、被写界深度を浅くすることができ大きなボケが得られるのです。
近づくことで被写界深度が浅くなると、下の図のようなイメージになります。赤と黄色の面が青に近づいて、被写界深度の矢印が狭まりましたね。これで矢印の部分以外はボケるようになります。
もう一度貼りますが、こちらは被写界深度が深いイメージ図です。
検証
イメージ図だけではいまいちわかりづらいので、実際に検証してみましょう。
使用するのはnikon 60mm Macroレンズです。
撮影風景はこんな感じ。適当な感じがにじみ出ています…
パターン① 25cmと30cm位に車を置いています。
パターン② 50cmと55cm位に車を置きます。
車の間隔は変えずに、カメラからの距離を変更します。
ではパターン①の写真です。(カメラから25cmと30cmの位置に車を置いている)
お次はパターン②の写真です。(カメラから50cmと55cmの位置に車を置いている)
車の間隔は5cmで変わりないのですが、[被写体までの距離]が短くなると被写界深度が浅くなりボケる範囲が増えたことを確認できたかと思います。
ここで覚えておいてほしいのが、上の写真は両方ともF9.0で絞りは変更していません。
まとめ
ボケのコントロール = 被写界深度のコントロールです。
今回は、[被写体までの距離]が短くなるほど被写界深度は浅くなり、長くなるほど深くなることについて説明しました。
次回は[絞り]についてです。
絞りはF2.8やF5.6などのFと数字で表されているあれです。
数値が小さいほど被写界深度が浅くなり、数値が大きいほど深くなることについて説明します。
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