▼目次
- ローリングシャッター歪みとは?
- 機械式シャッターと電子式シャッター
- 電子シャッターとは?
- 電子シャッターの動作について
- フォーカルプレーンシャッター(メカニカルシャッター)とローリングシャッターはある意味同義
- フォーカルプレーンシャッターとローリングシャッターの幕速と読み込み速度
- まとめ
シャッター周りの用語には多くのものがありますよね。フォーカルプレーンシャッター、レンズシャッター、ローリングシャッター、グローバルシャッターなどです。
この区別をしっかり頭に入れておかないと、私のようにローリングシャッター歪みで勘違いが起きます。
ということで引き続きシャッターのお話です。
ローリングシャッター歪みとは?
ローリングシャッター歪みとは、ローリングシャッターと呼ばれる電子シャッターを使用した際に被写体に歪みが生じる現象です。
全く高速移動していませんが、速いということにしてください。フレームがプルプルしているのはご愛嬌…。
高速移動する物体を写真に収めた時に以下のような写真が写る現象をローリングシャッター歪みと呼びます。
また、この時動いていない電柱(オレンジ)などは歪みません。
ローリングシャッターと呼ばれる電子シャッターは上から下まで行ごとに順次読み出しを行うので、撮影途中で被写体が動くと上と下で被写体の位置が変わるためにこのような写真が得られるというわけです。
そしてローリングシャッター(電子シャッター)とフォーカルプレーンシャッター(メカニカルシャッター)は上から下まで走査するという似たような方式ですが、一般的にフォーカルプレーンシャッターではローリングシャッターのような歪みは生じないといわれています。
今回はその理由を考えていきます。
機械式シャッターと電子式シャッター
前回、前々回と紹介したフォーカルプレーンシャッターとレンズシャッターは機械式シャッターと呼ばれるものです。物理的なシャッターが開閉するタイプですね。
一眼レフで多く使われています。ミラーレスカメラでも使用されている機種があります。
ソニーやニコンのミラーレスカメラはこのフォーカルプレーンシャッターですね。(ニコン1は電子シャッターです)
文字通り、物理的なシャッター機構を持つシャッター群ですね。
電子シャッターとは?
では次に電子シャッターです。電子シャッターには以下の2つのタイプがあります。
1.ローリングシャッター
2.グローバルシャッター
そう、ローリングシャッターという名前からは物理シャッターのような印象を受けますがこれは電子シャッターなのです。
こちらはD610のCmosセンサーと、Nikon1のCmosセンサーです。
D610のセンサーの上にフォーカルプレーンシャッターがちらっと見えています。これはシャッターが壊れているために全開になっていないだけです。
Nikon1のセンサーには物理シャッターは存在しません。
ローリングシャッターは機械式のシャッターではなく、電子制御によってシャッター動作を行っています。
電子シャッターはシャッターのON/OFFは見た目では変わりません。電子制御ですので露光時間(シャッタースピード)を電気的な制御で実施します。
Cmosセンサー(Nikon1) ローリングシャッター
電子シャッターの動作について
電子シャッターで撮影した際の写真への反映がどのようになっているかを説明します。
イメージ的にはフォーカルプレーンシャッターと似ています。というかほとんど一緒です。
以下のGIFファイルが電子シャッターの読み込みです。ライン露光順次読み出しと呼ばれる方式で、行ごとに順番に画像を読み込んでいきます。
ここでポイントとなるのが、使用しているセンサーの質やセンサーサイズなどによってこの読み出し速度が変化するのです。では話を進めていきましょう。
フォーカルプレーンシャッター(メカニカルシャッター)とローリングシャッターはある意味同義
さて、何度か話に出ていますがメカニカルシャッターであるフォーカルプレーンシャッターの幕速はいくつだったでしょうか。たとえば私の使っていたD610ならばシャッタースピードが1/250 or 1/300位がストロボ同調可能なシャッタースピードの最高速度なので幕速は秒速6mです。
つまり、上のgifファイルの読み出し速度が秒速6mと同義となります。フォーカルプレーンシャッターは物理的に光を遮断するので、「ローリングシャッターの読み込み速度とフォーカルプレーンシャッターの幕速は同義」 というわけです。
フォーカルプレーンシャッターの構造と幕速、シャッタースピードの計算方法について
フォーカルプレーンシャッターとローリングシャッターの幕速と読み込み速度
では次にローリングシャッターの読み込み速度ですね。
たとえばnikon1J5の読み込み速度を計算してみましょう。
考え方はフォーカルプレーンシャッターの幕速と同じです。ストロボの同調速度から考えます。Nikon1 J5のストロボ同調可能な最速のシャッタースピードは1/60秒です。
Nikon J5のセンサーの縦は8.8[mm]ですので
8.8(mm) ÷ 1/60(秒) = 528(mm/s)
以上よりNikon1 J5の読み込み速度は秒速0.528mということです。
まとめ
長くなりましたが、結果が出ました。
D610のフォーカルプレーンシャッター(メカニカルシャッター)の幕速は秒速6mに対して、Nikon1のローリングシャッター読み込み速度は0.528mということがわかりました。
つまり、一般的にフォーカルプレーンシャッターでは歪みが起きないと思われているのはローリングシャッターよりも幕速(読み込み速度と同義)が早いために目立たないということです。
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