D610のシャッターが壊れた件で一眼レフのフォーカルプレーンシャッターについて触れたので、今回はフォーカルプレーンシャッターの仕組みやシャッタースピードについての話をしていこうと思います。
ニコン フルサイズ一眼レフD610のシャッターが故障した原因を調査
▼目次
フォーカルプレーンシャッターとは?
一般的にデジタル一眼レフカメラに搭載されているシャッター機構です。撮像素子の手前に配置されています。シャッター幕が縦方向に走ることによってセンサーへの露光時間を制御しています。
シャッターユニット自体は下の写真のようなものです。
そしてこちらは壊れてしまったD610…。
下の状態はシャッターが閉まっている状態ですね。
フォーカルプレーンシャッターのシャッター幕
シャッター幕というのは上の写真にあるような長方形をしています。まずはざっくりフォーカルプレーンシャッターの動作をgif画像にしました。
①濃い色のシャッター幕が閉じている状態
②濃い色のシャッターが下りる
③薄い色のシャッターが下りる
④薄い色のシャッター幕が閉じた状態
という動作をします。
この[濃いめのシャッター幕]のことを[先幕(さきまく)]、[薄い色のシャッター幕]を[後幕(あとまく)]と呼びます。
下の図はセンサー側からみたイメージ図です。
レンズ側からシャッターを見る場合は、見えるのは被写体ではなくセンサーでしたね。
下の図はセンサー側から見ているので被写体である猫が見えるのは正しいです。
センサー側から見たシャッターの動きです。先幕と後幕の動きがなんとなくわかるでしょうか。
黒い棒状のものはシャッター幕のガイドを表しています。
シャッタースピードの計算について
シャッター幕が全開(猫の写真が全て見える状態)する場合のシャッタースピードは1/250秒ほどです。シャッター幕の速度自体は簡単に計算できます。
ここで簡単な計算です。距離=速さ×時間に代入すると
24[mm] = 速さ × 1/250[s]
速さ[mm/s] = 6000[mm/s] = 6[m/s]
つまり、シャッター幕自体の速度は秒速6mという速さになります。先幕が開き切った瞬間に後幕が走りだした場合のシャッタースピードが約1/250秒ということから、シャッター幕自体の速度を割り出すことができました。
では、どうやってシャッタースピードを長くしたり短くしたりするのでしょうか?
◆シャッタースピードを長くしたいとき
シャッタースピードを長くしたいとき
長くしたいときは簡単ですね。先幕が下りた後にWait時間を設ければよいのです。Wait時間が長ければシャッタースピードも長くなります。
星を撮影するときなどは、この先幕が開き切った状態を長く保つことで露光時間を長くしています。
◆シャッタースピードを早くしたい場合(1/250秒以上)
次はシャッタースピードを速くする場合です。先幕が走り切った瞬間に後幕が走る場合のシャッタースピードは1/250秒、シャッター幕自体の速さが6[m/s]でした。
シャッター幕自体の速度は約6[m/s]が最高速度なのでこれ以上は上がりません。そこで下のgif画像のような動作を行っています。
お分かりになったでしょうか。先幕と後幕が同時に下方向に走っています。
ポイントは、先幕と後幕の間の距離(スリット)が一定ということです。
それではスリットが2㎜の場合のシャッタースピードを考えてみましょう。
先幕と後幕が動いていると考えると混乱しますが、全く難しくありません。
ある一点のシャッターが開いている時間を考えます。先幕が通過した瞬間に露光が開始されるので、後幕が2㎜進むのにかかる時間がそのままシャッター速度になります。
つまり、2[mm] = 6000[mm/s] × シャッター速度[s]
シャッター速度[s] = 1/3000[s]
シャッター速度 = スリット ÷ シャッター幕の速度
という計算式が算出されるわけです。ちなみにシャッター幕の速度はシャッターの性能によってばらつきます。
ついでに言うと、シャッターが全開する場合はスリット幅が24㎜とも言えるので
24[㎜] = 6000[mm/s] × シャッター速度[s]
シャッター速度[s] = 1/250[s] と公式に当てはめて同じ答えが得られますね。
おまけ
たとえばストロボを使用する際はハイスピードシンクロを使用しない場合、1/250秒や1/300秒が限界です。というのもシャッター幕が全開する際のシャッタースピードが1/250sだからですね。
ストロボの発光時間は1/数百秒~1/数万秒ととても短い時間なので一瞬と考えてもんだいありません。シャッターが全開している間に発光しないとシャッターで影ができてしまうから、1/250秒くらいが限界なんですね。
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